ヒマラヤ日記

ガンゴトリーからゴーモクへ

平成16年10月9日(土)

 朝5時半にスーに起こされる。
昨日の山岳ドライブで疲れていたのだろう、とてもよく寝た。
外は暗いが天気は快晴のようだ。

 昨日の私とスー、ツツのミーティグでラバをチャーターすることに決めていた。
私もスーもツツもラバに乗るのは始めての経験!
Mr.ラジブの助言「登山道は険しく長い道のり(約20km弱)強い登りでタボバン(標高5000m)まで行くのであればラバを使って体力を温存した方が良い。」
このラバをチャーターしたことは後で私たちは大いに感謝することになった。
私たちはリックサックを背負いラバに乗るポイントに向けて6時半にドミトリーを出発した。

ガンゴトリーの町 ヒマラヤ
ナイフのようなヒマラヤ ラバから見たがけ下(ラバが足を踏み外すと?)
私たちがチャーターしたラバ ヒマラヤ

 ラバに乗ってみると目線が高くなり視界が大変良くおとなしいラバで乗り心地も良い!
ラバの目はかわいい、従順で素直でなんていい子!
リックサックは馬子が背負ってくれる。
私はラバの上で景色を堪能することができそう!

 登山道を私たちはラバに乗り進んでいく。
がけ下にはガンガーが牙を出している。落ちたら?谷底を見ると恐怖で顔が引きつる。
渓谷は紅葉で赤、黄色に染まっている。
いくつも滝が渓谷に流れ落ちている。
奇岩がそびえ、高山植物は小さな花を精一杯咲かし、赤い実、黒い実をつけている。
私はこの幸せに喜びを隠せない。

 チェックポイントでパスポートの掲示を求められた。
外国人には国境も近く厳しいのかしら?

 登山道はがけを削り石を積み上げ渓谷に沿って高度を上げていく。
勾配も険しくラバから落とされないように急なのぼりはラバの耳に顔がつくぐらい前傾体制をとる。
反対に急な下りは体をのけぞりラバのお尻に手を支え仰け反る体制をとる。
でも慣れれば苦にならなくそれも楽しい。

ボウジワサに着いたのは12:45分
天気は快晴、穏やかで風もなく恵まれた今日の天気!
ヒマラヤの山は白く輝き、その神々しさは私をとりこにしている。
 最初の予定ではここボウジワサで一泊する予定だったが天気が良いのとラバでも登山で疲れがないため思い切ってゴーモクまで行くことに決定する。
少し進むとラバがいける最終地点に着いた。
ここからはゴーモクまでは険しい登山となる。
私のバックはガイドが担いでくれた。
歩き始めてすぐにもう私は息切れがし、足が思うように上がらない。
スーは軽い足取りで進んでいく。
私「スー、待って!もうすしゆっくり歩いてよ!」
スー「あんた!もっとしっかりしなさいよ!」
待っていてくれるが私がそこに着くとすぐに歩き始める。
私は自分のペースを崩さずに進むことにした。

奇岩 ヒマラヤ(マギトラ123)
ゴーモクの入り口
入り口でツツとガイド 夢にまで見たガンガーの源(牛の口)氷河

ゴーモクが見えてきたヒンズー語で牛の口という意味だそうだ。

それば全体が氷河!その氷河の下にホールがあり水が流れ出している。
こここそがガンガーの第一歩の地点なのだ!
氷河はブルーに輝き私たちはそのスケールの大きさに言葉も出ない!
 私はカツ尼さんからいただいた水晶をガンガーに沈めた。
小さな透き通る氷の破片が水晶のそばを流れていく手に取ると太陽の光にダイヤモンドのように輝いている。
周りの石は石英、鉱物を含んでいるのかきらきらと小さな光を放っている。
私は今、ガンガーの源にいる!私はヒマラヤにいるんだよ!
皆様の幸せを願い私はその小さな石を拾い始めた。
きれいで輝いている石を!

ゴーモクで祈る行者 音お立てて崩れる氷河
氷河 宝石のような石
カツ尼さんからいただいた水晶 沐浴する行者
右が私たちの泊まったテント 私たちを留めてくれた行者Mr.ポリアガギリ
夕日が先端を染めるマギトラ山 祈りの場

 水晶を清め私は今夜お世話になるサドー(行者)から熱いチャイをいただき暮れゆくヒマラヤの山々を眺めている。
ガンガーの流れの音、時折聞こえる氷河が崩壊する音、風もなく、空はコバルトブルー、氷河の薄く輝くブルー、この世界には私たちとガイド、サドーしか今はもういない。
 私たちはこの偉大なスケールの中で夜明けを待つのだ。
日暮れと共に強烈な寒さが襲ってきた。
私とスーはテントの中で持ってきた衣服をすべて着て寝袋にもぐりこむ。
寒さに震える私たちにサドーは毛布を貸してくれた。
 私とスーはカツ尼さんか差し入れのビスケットを食べながら眠れぬ夜を過ごすことになる。

 11時思い切って外に出てみる。
私は息をのんだ!
星、星、星、空には信じられない多くの星が争うように光を放っている。
私の手に届きそうな星たち。
天の川も存在感を示している。
宇宙から見る星たちもこのように見えるのかしら?
そう、私は今、小宇宙の中にいる。
寒さも忘れ私は夜空の星のショーに感激している。
 今、私はこの幸せを表現できない。
マギトラ山が黒いシルエットで星たちに存在感を示していた。
偉大なヒマラヤよ!偉大な星たちよ!人間はなんて小さいの!
私はこのスケールの大きさに自分をさらけ出し神の力を感じている。
偉大なヒマラヤ、輝く星たち、そして宇宙。
神々は私を見守ってくれている!強く感じる!


次に続く