月世界の秘境 ラマユル

2017/10/05

 出発の用意をしているとゲストハウスのお母さがチャイを飲みなさいと食堂に誘ってくれる。
ブレックファストはまだか?と聞くので食べに行くというと私が作るから食べなさいというのであんずジャムたっぷりのトーストパンをいただいた。
街のレストラより手作りあんずジャムは数段うまかった。
お金を渡そうとすると怒られた。
チベット人は誇り高い。
娘さんが若かりし頃のお母さんの写真を見せてくれる。
家族自慢のお母さんなのだ。
出発の時、庭のリンゴを持って行けというがスクーターにバックを積んではもうリンゴを持てることはできないのでお断りした。

 ヒデンヒマラヤの上甲さんの旦那のヤンベルさんに不要な荷物を預かってもらい日焼け止めクリームを買っていよいよ出発だ。
レーを出発したのは11時近かったと思う。
昨日スクーターにはガソリンスタンドで満タンに入れたがかなり走っているにで1メモリメーターが下がっているが給油しないで走り出す。
快適なツーリングで気分も上々だ。
ワインディングロードをノンビリと走るのはいいもんだー

 段々と荒涼差が増し荒々しい景色へと代わってきた。
インダス川沿いに道路が進むがアップダウンが激しくなってくる。
軍の施設が頻繁にあらわれる。
パスタンと領有権で争っていることが現実だということか?

 ガソリンを給油しないといけなくなってきた。
山岳地帯にガソリンスタンドがあるか不安になってきた。
小さな町の茶屋にバイクが集団で止まっているところでスタンドがこに先あるかと聞くと茶屋の店員が20km先にあると教えてくれる。
たどり着いたらスタンドがガス欠だった。
これには本当に驚いたがこの道路事情じゃタンクローリーだって時間通りに走ることが不可能なことはよくわかる。
地図の感じではラマユルまで行ってこのスタンドにギリギリで戻れそうだ。
明日は入荷しているからとスタンドの娘さんはいう。

 月の世界が現れた。
だがガードレールも無い急カーブが連続した危険地帯だった。
トラック野郎のキラキラトラックが下り坂を猛スピードで追い越していく。
すごいところに来たもんだー

 ゴンパまでの登り坂の燃料も持ちそうだのでゴンパに行って今日のスクーターでの行動はおしまいと思っていたのにゲストハウスに入るに細い入り口の坂で転けた。
通りかかったゴンパの小僧さんが起こしてくれた。
ゲストハウスのお婆ちゃんにジャンバーを脱げズボンも脱げといわれて見時に濡れたジャンパーとズボンを乾かすことにした。
チベット人は本当に親切だ。
 今、母屋でスモモを頂いている。
ドライフルーツも食べれという。
部屋の用意をしてくれているのだろう。
日当たりがよく温室の中にいるようで気持ちがよい。
4時を過ぎようとしている。

 広くていい部屋だ午後に日当たりの良い部屋は暖かくて気持ちがいいが朝日が当たる部屋を選んだ。
朝ポカポカのほうが気持ちがいいと思ったのと朝の光が好きなので

 親父が帰ってきたので晩飯と朝飯付きで1800ルピーだという。
外人価格で高いと思たけれどお婆ちゃんのやさしさとこの村の親切に感謝してか なぜか値切らない私だった。

ここのゴンパは有名らしいがあの月の景色がちょっとした観光地になっているようだ。

とにかく人の良い人達だ。
都会から離れると子供たちは恥ずかしがりやで大人たちは話しかけると親切に案内までしてくれる。
この差のギャップは面白い。

 旅で一番面白いのは私は人々の生き方を五感で感じることだと思ってる。
どんな言葉で話してどんな食べ物を食べてどんな服装をしてどんな生活習慣なのか
このヒマラヤの緑がちょっとしか無い不毛の地でも人々はたくましく生きている。
人間はたくましい。
チベット仏教と友に生きている。
ブジーではヒンズー教徒とイスラム教徒が友に暮らしをしていた。
苦しい生活環境では宗教は人々の支えなのだろう。

今日の晩飯はトクパ(チベットうどん)だった。
素朴でうまい、親父が赤い粉のトウガラシをいっぱいふりかけている。
私もふりかけてナルホドうまさがました。
食事の前に親父が部屋から出ていってしばらくして金の水差しコップを持ってきた。
濁った液体をコップに注いで飲めという。
酒の名前がよき聞き取れず馬乳酒かと思いこんでしまった。
この酒はじめて飲むと下痢をすると以前モンゴルに旅した旅行者に聞いていた。
ちょっと酸っぱめでそんなに強くはないようだ。
3口ぐらい飲んだらもっと飲めという。
下痢が治ったばかりなのでお断りしたが・・・



チベット人の商店街


ザンスガール川がインダス川に合流する三角地点


少し高度が下がると平地に緑のオワシスが現れる


峠を越えるとまたインダス川が現れてくる


人々が集まるオワシス(村)の茶屋


いよいよ月の世界が近づいてきた(この崖の道路はオーバーハングのところもありががけ崩れが頻繁に起きていた)


月の世界の始まり


このような世界が続く


ラマユルのゴンパが見えてきた残り少ないガソリンで迷うが登る。


ゴンパからラマユルの村を見る(もう紅葉が始まっている)


自然はこんな世界を作り人々は困難に打ち勝って小さなオアシスに生を求める


この坂をスクーターで登ろうとしてパワー不足で足を踏み外して転倒した。


暖房はないが毛布を2重にたたんで寒さをしのぐ


馬乳酒ではなくてチャンといって大麦で作ったドブロクだった。自家製なのでグッといただけばよかったと後悔している。


奥さんが作ってくれたトゥクパ(チベットうどん)白い小瓶に唐辛子粉が入っている。

親切に接待してくれ優雅な夜を過ごした。
旅の醍醐味なのでしょう。

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